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成年後見

1.成年後見とは
2.法定後見
3.任意後見

 

1.成年後見とは

認知症、知的障害、精神障害などさまざまな理由で判断能力が低下した場合に、本人に代わって誰か頼りにできる方に財産管理などをおこなってもらう制度です。
大きく分けて、判断能力が低下してから裁判所が援助者を選任する「法定後見」と、判断能力が十分なうちに援助者と契約をしておく「任意後見」の2つの制度があります。

 

2.法定後見
〔当事務所ができること〕
成年後見人等を選任してもらうために裁判所へ提出する申立書類を作成いたします。また、裁判所での面談に同席いたします。

認知症・知的障害等により判断能力が低下した方は、契約等の際に適切な判断ができない可能性があり、詐欺などの被害にも遭いやすくなります。そこで、裁判所が「成年後見人」を選任すると、以後は成年後見人がご本人を代理して売買契約等の法的行為を行うこととなります。また、ご本人が独断で契約等をしてしまっても後から成年後見人が取り消すことができ、騙されて高額商品を購入してしまうような被害を防ぐことができます。
成年後見人を裁判所に選任してもらうには、ご本人やご本人の親族等が、裁判所に申立てをする必要がありますが、その申立書類の作成を、当事務所でお手伝いいたします。また、申立て後は、家庭裁判所へ出向いての面談が必要となりますが、その面談にも同席いたします。
成年後見制度は、ご本人の大切な財産を別の方が一手に預かる制度であり、一度申立てをすると取り消すことはできません。ご本人やご家族が十分に制度をご理解された上で申立てをすることが大変重要です。当事務所へご相談いただいた際には、制度について丁寧にご説明いたしております。すぐに結論を出す必要はありません。ご家族で十分に時間をかけてご検討ください。

 

◆誰が成年後見人に選任される?◆
成年後見人の選任権限は、家庭裁判所に一任されています。ご本人の身近な親族が選任されることもあれば、司法書士や弁護士等の専門家が選任されることもあります。申立ての際に候補者を立てれば、その候補者が選任される可能性が高くなりますが、必ずその候補者が選任されるとは限りません。近年は、一定以上の財産をお持ちの方の後見人には、専門家が選任されるケースが増えております。(親族が後見人に選任された上で、司法書士等がその監督人として選任されることもあります。)
一番多く選ばれる専門家は司法書士です。司法書士は独自に団体を設立し、各司法書士による成年後見業務が適切に行われるよう監督・研修体制を整えております。成年後見のことは、成年後見の専門家・司法書士にぜひご相談ください

 

◆成年後見人の選任が必須となる場合とは?◆
認知症等で判断能力を欠く方は、契約や協議を単独で有効に行うことができないため、次のようなときには成年後見人の選任が必須となります。
(1)不動産を売却するとき
 売買契約や移転登記申請は、成年後見人が代理して行うこととなります。
(2)相続人になったとき
 遺産分割協議や相続放棄は、成年後見人が代理して行う必要があるからです。ただし、民法の規定どおりの割合で相続するのであれば、遺産分割協議が不要なため、成年後見人がいなくても相続できます。
(3)その他、重要な契約をするとき

 

◆成年後見人は身の回りのお世話もする?◆
成年後見人の主な役割は、ご本人に代わって法的行為を代理することです。具体的には、ご本人の財産を管理し、ご本人のために必要な契約を結んだり、必要な支払いを行ったりします。
もしご本人が介護を必要とされる場合は、成年後見人自身が身の回りのお世話をするのではなく、成年後見人がご本人を代理してホームヘルパーとの契約を締結したり、介護施設への入所契約を締結したりします。
ご本人への支援は、成年後見人ひとりが一手に担うのではなく、各専門家と連携しながら行います。

 

◆判断能力の低下が部分的な方のための制度は?◆
判断能力を全面的に欠くわけではなく、部分的に低下(例:常時ではなく一時的にのみ認知症の症状が出る、など)している方は、成年後見人ではなく「保佐人」または「補助人」が援助者となる制度もあります。この制度は、特定の一部の法的行為についてのみ、ご本人が「保佐人」または「補助人」から事前同意を得てから行うという制度です(「保佐人」または「補助人」が代理することもできます)。「保佐人」や「補助人」によるサポートを最低限に抑え、ご本人の判断権を極力奪わないようにしている点が特徴です。
「成年後見人」「保佐人」「補助人」のいずれの制度を利用するかは、医師の診断や鑑定をもとに判断します。

 

3.任意後見
〔当事務所ができること〕
任意後見契約書案を作成いたします。また、ご要望に応じて、任意後見人に就任いたします。

一人暮らしで近くにご親族がいらっしゃらない方など、ご自身の老後や亡くなられた後のことに不安をお持ちの方が増えています。認知症などで将来的に判断能力が低下した場合に備えて、将来の財産管理や施設入所契約等について、信頼できる援助者の方との間であらかじめ公正証書により契約しておくのが、任意後見制度です。判断能力があるうちに「転ばぬ先の杖」として活用される制度です。
裁判所が後見人等を選任する法定後見制度とは異なり、ご本人が望む援助者の方(任意後見人といいます)に財産管理等を託することができるのが特徴です。なお、実際に判断能力が低下し任意後見人が後見事務を開始することとなった場合は、「任意後見監督人」が裁判所から選任され(司法書士等の専門家が選任されます)、その監督のもとに後見事務が行われます。
当事務所の司法書士との間で任意後見契約を締結させていただくこともできます。
なお、任意後見契約は、ご本人と任意後見人との信頼関係が非常に大切ですので、かねてからのお知り合いでない方々同士の場合は、長期間かけて定期的にお話の機会を設けるなどして、両者十分に納得した上で契約を締結することが望まれます。また、配偶者やお子様等がいらっしゃる場合に、第三者の方と任意後見契約を締結する場合は、配偶者やお子様等のご理解も重要です。

 

◆公正証書として作成します◆
任意後見契約は、公正証書として作成することが法律で義務付けられています。公正証書とは、公証役場へ出向いて、公証人という専門家の立会いのもとで作成される文書であり、紛失・改ざんを防ぐ観点から、公証役場で原本が保管されます。
当事務所では、公証役場へ持参する契約書案の作成のお手伝いをいたします。原案を入念に作成しておくことで、希望通りの公正証書がスムーズに作成できます

 

◆任意後見契約とセットで締結される契約◆
任意後見契約を締結する際、次のような契約も、いわばオプションとして締結することもできます。
(1)見守り契約
任意後見契約を締結しても、その後何の連絡も取らなければ、信頼関係も薄れてきますし、そもそも判断能力が低下したかどうかの確認もできません。そのため、ご本人の安否確認、心身状態の確認、および信頼関係の維持などを目的として、判断能力が十分な間も定期的に連絡を取る(電話や訪問をする)という契約です。
(2)財産管理契約
任意後見契約は判断能力が低下した場合のための契約ですので、身体能力が低下しただけの場合(寝たきり等)には効力がありません。しかし、身体能力が低下すれば、いくら判断能力が十分であっても実際には財産管理(銀行へ出向いたりする等)が困難になることも考えられます。そのような場合に任意後見人が代理人として法的行為ができるように、あらかじめ締結しておく契約です。
(3)死後事務委任契約
任意後見契約には、ご本人が亡くなられた後のことを盛り込むことはできません。そのため、ご本人が亡くなられた後の葬儀、遺産整理等について、生前に任意後見人と締結しておく契約です。